「コアジサシを撮る」Jun.2022 その1
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コアジサシと言う鳥
大きさはハトをややスリムにしたくらいのボリュームの胴体に、細長い翼、ツバメ
より鋭く尖った2つに割れた尾羽を持つ。腹側は白、背側は淡い灰色で、嘴は黄色で、
その頂部及び頭部から目の周辺までが黒だ。
属としては「カモメ」の親戚にあたり、渡り鳥である。夏は日本で産卵しヒナを育
て、秋口に日本を去り、冬場はニュージーランドあたりまで移動して暮らしている。
移動距離は直線距離なら10,000kmを切るが、島伝いに旅をするだろうから、
確実に一万キロは越えるだろう。カモ等、シベリアと日本の往復とは訳が違う。
大東亜戦争で、日本軍の進撃はニューカレドニアに到達することなく、ガタルカナ
ル島で阻まれてしまった。コアジサシの越冬地ニュージーランドは、さらに南南東、
3,500kmも先である。とんでもない能力を秘めた鳥なのである。
絶滅危惧種
だが、大変残念なことにこのコアジサシ、絶滅危惧種なのである。いろいろな原因
があるのだろうが、その一つが営巣地の減少らしい。この鳥が必要とする営巣地の条
件は、草木がまったく生えていない、河口の中洲のような白い砂利の上だ。東京界隈
では護岸工事でこの様な場所は激減してしまった。
東京在住の私だが、自転車を少し走らせればそんなコアジサシに会うことができる。
その場所を紹介する。下の地図「赤E」は東京都下水道局の浄水施設であるが、屋上
に白い砂利を敷いてコアジサシに、営巣地を提供している。下の地図「赤G」から撮
った「赤E」東京都下水道局森ケ崎水再生センター(東施設)。画面左端に「赤F」の
老人ホームが見える。
営巣地とその周辺
自宅から20分そこそこで、平和島競艇場だ。道の反対側、上の地図では「赤A」の
位置から平和の森公園に入る。「青線」の移動ルートで南下。環七を潜りしばらくす
ると道は、ふるさと浜辺公園に繋がり、東京湾が見えてくる。上の地図「赤B」の位
置からカメラを南に向けて撮った写真が下。復元された砂浜は綺麗なままだ。
上の写真の黄色の範囲を拡大したのが下。
ここからは、左に海を見ながら自転車で進む。5月中旬、コアジサシ撮影ポイント
の「赤D」へ向かう途中の「赤C」地点で岸壁まで降りた。水中の様子を確認したの
が以下の写真。(Super Takmar 105mm F2.8/PLフィルター使用)
そこいら中、ボラの稚魚。コアジサシの餌だ。ヒナにこれを与えて育てる訳だ。
7〜8cmとまだ小さいが、日を追うにつれ数を減らし各個体は大きくなっていく。
これはコアジサシの餌にはならないが、デカかった。
撮影ポイント付近で見かける鳥
ここが撮影ポイント。目の前は呑川の河口で、魚を狙ういろいろな鳥が集まるポイ
ントで、コアジサシもよく来る。右奥の茶色い大きな建物は老人ホームで、上の地図
や写真で「赤E」とした地点で、遠くからも目印になる。
ここに来る鳥達には水かきのある鳥と、ない鳥がいる。カモやウのように、水かき
のある鳥は当然、上手に泳ぐことができる。とくにカワウは水泳の達人で、長時間の
潜水もお手の物だ。「鵜呑み」の言葉通り、水中でかなりの大物を仕留めたりする。
水かきのない鳥は泳がない。サギの仲間は田んぼや水辺を歩きながら、水面付近の
魚などを、長い首と嘴をつかって捕食する。
上写真左の大きいのはアオサギ、右の小柄で真っ白なのがコサギ。
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