2020年6月「調査・修理」その2

                その1へ<-その2->その3へ  先月末の緊急事態宣言の終止符に続き、東京アラートも解除になった。しかしこう した国や都の決定の根底には、「犠牲者を最小限すること。」がある。この場合犠牲 者とはコロナ感染者だけではない。収入を失い餓死することもあるだろうし、自殺だ って考えられる。しかも餓死者や自殺者を減らす舵を切ればコロナで死ぬ人が増え、 コロナを抑える舵を切れば餓死者や自殺者が増える。決して「ゼロ」はならないし、 為政者も「ゼロにしよう!」などとは考えていない。つまりそこのところの極めて冷 徹なバランスをとるのが為政者の仕事なのだと思う。  高齢の母との同居の身であるから、コロナのリスクを考えると、電車で秋葉原へ買 出しに行きたくない。手持ちのパーツで足りたのは幸運だった。ほぼ自宅在庫のみで 修理可能と分かり、さっそく作業にとりかかった。長い間放置することになってしま ったのを申し訳なく思う。絶対に蘇ってほしいから、慎重に、丁寧に作業を進めよう と思う。 トーンアンプの修理 ------------------------------------------------------------------------------------------------- 1.電源トランス換装 まず、筐体底面を開き、シャーシに立ちラグ二つを取り付け、電源トランスへの配線を切断、取り付けた新 しいラグに、行き先別にわかりやすくハンダ付けしていく。電源トランスを交換、新しいトランスの使用する 各タップからリード線を引いてシャーシの穴から裏側へ通し、先ほどのラグにハンダ付けする。ここで電源を 入れてパイロットランプが点灯すること、ヒーター点火用直流12V、ヒーター、カソード間耐圧制限をクリ アするための70Vの電圧チェック。異状無し。 2.英国式トーンコントロール回路の取り外し  操作ツマミと可変抵抗やスイッチ類の連結棒を外し、シャーシからアルミのチャンネルで作ったサブシャー シを取り外し、可変抵抗とスイッチ、カード式のCR減衰回路を抜き取る。  ここで一つ問題を発見。 右の回路図通りに作るならスイッチが 不要になってしまう。フロントパネル には、操作ツマミのための穴が開いて いて、不必要でもスイッチをつけざる を得ない。音質補正用のコンデンサを 可変にすることも出きるが、5接点も 必要ない。抜き取ったスイッチは使い たくない。ならば代わりを探さなけれ ばならない。高音側はコンデンサーを 2個使うから4回路必要だ。4回路で 2接点なら普通はトグルスイッチを使 うだろうから、果たしてロータリース イッチがあるだろうか。ジャンク箱か らぴたりの物を発見。下の写真、左上 の青いスイッチが1段4回路2接点だった。見た目は3接点だが・・・。 3.LUX型トーンコントロールを組み、二段目からの出力に変更する。  前回LUX型を使ったとき、不満を感じたセンターの明確化のため、可変抵抗を自作する。左下に写ってい る抵抗、上のデカいのが1W型、その下の小さいのが1/8W型。それをスイッチの隣り合う接点間に挿した 状態が右下。こんな感じで20個の抵抗をハンダ付けして、問題の可変抵抗は簡単に作れた。  出来上がった可変抵抗と、安物のスイッチをサブシャーシに取り付け配線する。トーンコントロールに使う コンデンサーはマイカ、下写真で右下の青いスイッチとつながっている茶色いのがそれ。青いスイッチ12時 位置で100pと150pが並列となり、回路図通りの値になる。一時方向に回すと、150pが断たれて、 高音側の、上昇下降が始まる周波数が1オクターブちょっと上昇する。下の低音側は写真ではよく見えない。  写真中央上が自作した1MΩの可変抵抗。ここに使った1/8W型の抵抗の他、信号回路で使う抵抗は、1W 型の金属皮膜抵抗だ。左上の角張ったパーツが耐圧250V1.0μ のカップリングコンデンサー。その真下 に今回は使用しない三段目の真空管ソケットが見える。それを飛び越えるように、二段目上側のカソードから 黒く太めのエンパイヤチューブを被ったスズメッキ銅線が、カップリングコンデンサーに直接繋がっている。 これが今回の、もう一つの回路変更点だ。  ここですべての真空管を挿し電源をいれる。各プレート、カソードの電圧をチェックして異状無しを確認。   上の写真中央上が音量ボリューム、東京光音電波のコレクトボリューム A250KΩ 当時6,000円した! その下がバランス調節の可変抵抗、アルプス電気のセンタークリック付き NM250KΩ 1,000円ちょっと  サブシャーシを固定してフロントパネルの操作ツマミと、スイッチや可変抵抗を真鍮棒で連結する。今回、 新しく自作した可変抵抗のみシャフトが短くなっているので、Φ6mmのアルミ丸棒をピタリの長さにカット して連結した。  底板内側に1mm厚のゴムシートを貼り付け、ネジ止めする。上のカバーはまだ外したままでテストに移る 準備が完了した。 -------------------------------------------------------------------------------------------------  あとはテストだ。まず音出しテストをやって、それから性能デストをやろうと思 う。それから忘れていけないのは、不要になり取り外した残骸にも、高価なスイッ チ類や、今後入手が難しくなるかもしれない真空管ソケットなど、有用なパーツが 付いたままだということだ。再利用可能なように、丁寧に取り外さなければならな い。退職前はそんな時間の割りにショボい作業は後回しにしてきたが、これからは 時間を気にする必要は無い。納得のいくよう作業したい。 親ページに戻る          その1へ<-その2->その3へ
Last Modified
2020.09/10
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